アニメを作るぞ!!!【受注編】

2022年2月末

高校の友達から連絡がきた。

 

友達 A

卒業生にビデオメッセージ作りたいんだけど、アニメーションの作り方を伝授してほしい。
欲を言えば機材とかアイデアとか技術借りたい。

 

友達は学校の先生として働いている。

受け持ちのクラスが今年卒業なので、アニメを交えたスライドショーの動画を卒業生へ贈りたいということらしい。

「機材」「アイデア」「技術」、これを借りたいというのは「全部やっといてな(笑)」ということと同じだが、こいつはなかなか肝がすわってやがる。

そんなことが頭をよぎったが僕はすぐに了承する旨の返信をした。

1日の半分以上を睡眠に費やし、飼い猫とほぼ同じタイムスケジュールを刻んでいる無職の自分にはちょうどいい暇つぶしだろう。

 

友達 A

ありがてぇ
ちょい驚くくらいのクオリティ出して、生徒を喜ばせたい

 

丸投げしてるくせによくこんなことを言えるものだ。
生徒を想う気持ちと作品作りに対する情熱が完全に乖離している。

言いたいことは色々あったが、とりあえずは今後の打ち合わせで諸々を決めることとして、LINEでのやりとりは終わった。

 

 

それから2日後

連絡がこない。

卒業にあわせて動画を贈るのなら3月中旬には完成していなくてはならない。

しかしもう2月が終わろうとしている。
制作にあてられる時間が2週間を切るというのはさすがにまずいだろう。

アニメを作ったことはないが、ものすごい大変ということは想像できる。

「映像研には手を出すな!」でも、映像研の3人は常に納期に追われていた。

それに対してこちらは完全未経験で、製作者は今のところ僕だけ。

凄腕アニメーターの水崎ツバメも、天才アニメ監督の浅草みどりもいない。

いるのは猫みたいな生活を送っている無職ただ一人。

こんな制作体制では時間がいくらあっても足りないはずなのに、すでに納期までは3週間を切っている。

そんな焦りもあったが、

「まあ2週間あればとりあえず形にはなるだろうし、明日くらいには連絡もくる気がするな

とりあえずそう考え、Aからの連絡を待つことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Aからメモ帳の画像が送られてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ばかたれ。

こいつは何をしているんだ。

これを考えるのに1週間もかかったのか。

正直言って変哲がなさすぎる。

「卒業っぽいアニメーション」というお題で街中100人アンケートを取って平均を出したようなシナリオだ。凡の凡の凡。

 

聞くと「すっかり忘れてたわ(笑)」と言っていた。

 

 

カス

 

 

さらに、翌週の金曜日までには完成させたいらしい。

 

 

カス小ごみ中クソ高出身
肥溜め大学終わり人間学部
すっとこどっこい研究室教授

 

 

もうこの時点で納期まで1週間を切っている。

僕が作るアニメにAが作るスライドショーを合わせることを考えれば、残された時間はたった5日しかない。

果たしてこの鬼納期で完成させることはできるのだろうか。

 

アニメを作るぞ!!!【制作編】に続く…

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

ABOUTこの記事をかいた人

小学生の頃、公園に放たれていた飼い犬にリードで絞め殺されそうになった。

NEW POSTこのライターの最新記事